トルコリラ円 急落の原因と今後

トルコリラ円は、大暴落しました。
2018/8/9の東京後場に、その週の月曜の安値を下抜けし、トルコリラ円が史上最安値を更新ました。スワップ金利狙いで買いポジションを保有している投資家からは、値動きの様子がおかしいといわれ始めました。その後、トルコリラ円も含めクロス円全般で売られる動きが急速に始まり、2018/8/10にECBが欧州の銀行でトルコの資産を持っていることに対する懸念を示してしまいました。ここで最初に売りが入ったのはユーロです。ユーロの売りがトルコリラの売りへとつながりトルコリラ米ドルが急騰、トルコリラ円は急落することとなりました。さらにさらに米国がトルコに対する制裁!!。トルコで米国人牧師が軟禁されていますが、米国側は同牧師の完全な開放を求めトルコの鉄鋼とアルミの関税を更に倍にする決定をしました。トルコから米国への鉄鋼輸出は、国別で6位である程度の輸出量があります。この決定を受け、トルコの鉄鋼会社の株は軒並み急落、そしてトルコリラはそれまでの下げを更に加速する大暴落となりました。

トルコリラ円のスワップ金利投資をしなくて良かったです。
約1ヶ月前にトルコリラ円の今後の相場展開を分析し下降するので投資対象から外していました。
そのときに書いた記事はこちからです。

2018年7月14日
トルコリラ円 スワップ金利 FX利益 検証 為替レート変動損
FXトルコリラ円(TRY JPY) の通貨ペア価格は、下降傾向です。スワップ金利運用を目的にトルコリラ円を購入すると、スワップ金利の利益よりも通貨ペアの価格下落による損失が上回り、損する状況です。
投資開始の判断は、トルコリラ円の下落がどこで止まるかです。
トルコの政策金利上昇とインフレ率の上昇が起きている現状では、トルコリラ円が下落の方向にあると見るのが妥当です。
このことからトルコリラ円を買う時期は、まだ先としました。

その他、スワップ金利を狙った新興国の通貨ペア記事です。
南アフリカランド円 スワップ金利 1年間 投資リターン
メキシコペソ円 スワップ金利 1年間 投資リターン

 

2018年8月27日追記

トルコリラ急落の原因

アメリカとトルコの対立に端を発し、トルコの通貨リラが2018年8月10日に急落しました。これを受けて金融市場が大きく動揺する事態となりました。
トルコリラ円(TRYJPY)は、2018年8月13日に史上最安値を更新し15.55円付近をつけました。トルコリラ円がどれくらい異常な下げ相場なのかを見ていきます。

チャート(約10年間)で見る下落の異常さ

下図は、トルコリラ円(TRYJPY)の週足チャートです。2007年2月18日~2018年8月27日までの約10年間です。

最高値の約16%まで下落

チャートの水平線(上側)は、2007年10月7日に付けた最高値付近99.61円です。チャートの水平線(下側)は、2018年8月13日に付けた最安値付近15.55円です。この差は84.06円です。2007年10月7日の最高値を100%とすると2018年8月13日の最安値は、約16%になり、約6.4分の1です。

約10年間チャートに下降トレンドラインが引ける状況

長期下降、中期下降、短期に調整の上昇が一部にある状況です。全体を通して10年間下降が継続している状況です。

2011年10月~12月の底値が崩れる

チャートの水平線(中央)は、2011年10月4日の安値付近40.24円と2012年1月1日の安値付近40.13円に合わせて引いたラインです。この安値は、以降相場が上昇しましたので強い底値となりました。この底値は、2015年8月に下抜けし崩れました。下降傾向の強まりが示唆された場面です。

図:トルコリラ円(TRYJPY)週足ラインチャート(2018/8/27 11:20時点)

トルコリラ急落の原因

2018年8月10日に起きたトルコリラ急落の原因をまとめました。

トルコは、ヨーロッパ・アジア・中東を結ぶ国です。イギリスやフランスを上回る人口と、スウェーデンやオランダを上回る経済規模をもちます。その一方でトルコは、多額の対外債務と前年比2桁のインフレにある状況です。

そこに8月10日アメリカ トランプ大統領がトルコから輸入される鉄鋼やアルミニウムなどの関税を2倍に引き上げると表明しました。トルコが現地在住のアメリカ人牧師をクーデター未遂事件に関与した疑いで拘束していることが原因です。この発表によりトルコ経済が悪化するとの懸念からトルコリラが1日で約20%下落しました。

トルコの急激な物価上昇と通貨の暴落を止めるには、一般的にその国の中央銀行が利上げをすることが対応策と言われています。しかしトルコ エルドアン大統領は、景気の失速を警戒し利上げに反対する強権的な政策運営を続けています。

こうした事態を重く受けと株価が下落、日経平均は一時22,000円を割り込みました。また円高がすすむ一方でアジア通貨安の展開となりました。

 

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